電網郊外散歩道

音楽、読書、コンピュータ、農作業などの記録。ブログ移転によりリンクが切れている場合は検索ボックスで調べてみてください。

-外国文学

プーシキン『大尉の娘』を読む(2)

恋敵シヴァープリンに無理やり嫁がされようとしている恋人を救うべく、ピョートル・アンドレーエヴィチ・グリニョーフと忠実な従者サヴェーリエフはプガチョフの率いる反乱軍が占拠する村に近づきますが、あいにく農民の見張りに見つかり、サヴェーリエフが…

プーシキン『大尉の娘』を読む(1)

旅の間に、光文社の古典新訳文庫でプーシキン『大尉の娘』を読みました。坂庭淳史訳で、2019年の4月に刊行された初版第1刷です。若い頃に読んだ中村白葉訳の新潮文庫は、昭和50年の第32刷ですが、もう紙がすっかり黄ばんでいるだけでなく、文字のポイントが…

ヴァレンタイン・デイヴィス『34丁目の奇跡』を読む

映画『34丁目の奇跡』のノヴェライズらしい。映画は白黒とカラーのリメイクと両方を観ているが、書籍は初めて。なかなかおもしろい。

コルム・トビーン『ノーラ・ウェブスター』を読む

新潮社クレストブックスのシリーズで、アイルランドの作家コルム・トビーン著(栩木伸明訳)『ノーラ・ウェブスター』を読みました。2017年11月に刊行された単行本ですので、まだ二年も経たない、私にとってはごく新しい翻訳本です。 実は、数カ月前に一度手に…

プーシキン『大尉の娘』の新訳が出ていた

以前、プーシキン著『大尉の娘』の新訳・新刊が出ないものかという記事(*1)を書きました。手持ちの新潮文庫(中村白葉約)は、1970年代の始め頃に購入したもので、用紙がすっかり黄ばんでしまっているだけでなく、文字のポイントが小さすぎて、老眼世代には辛…

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を読む

早川書房のハヤカワepi文庫で、カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』を読みました。はじめのうちは、思春期の子供の世界を描いた物語になるのかな、と思いましたが、途中でこれは重いテーマの話なのだと感じました。要するに、臓器提供のために育てられ…

カズオ・イシグロ『日の名残り』を読む

早川書房のハヤカワepi文庫の中の1冊で、カズオ・イシグロの『日の名残り』を読みました。ノーベル文学賞受賞を機に、子どもから借りて手にしたものですが、ギュンター・グラスとかガルシア・マルケスなどと同様に、なかなか手にしようとは思わないだけに、…

ヒルトン『心の旅路』を再読し、映画での工夫に気づく

ヒルトンの『心の旅路』(昭和52年刊、角川文庫、原題"Random Harvest")が書棚から出てきましたので、久しぶりに再読しています。購入して40年が過ぎた本で、用紙はすっかり茶色に変色してしまいましたが、絶版になって久しく、古書店でもめったに見かけませ…

『モンテ・クリスト伯』クイズ

当ブログには、全部で14回という連載回数を誇る(^o^)『モンテ・クリスト伯』関連の記事(*)があり、ありがたいことに、これまでずっと多くの方がお読みいただいているようです。宝塚の『モンテ・クリスト伯』関連の公演も影響しているのでしょうか、これほど…

ヒルトン『失われた地平線』を読む

ヒルトンと言えば、『心の旅路』の作者であり、大戦間期の不安な時代を舞台に、教養ある知識人や中産階級以上の人たちの姿を描く作家、という印象を持っています。2011年の河出文庫で、ヒルトン著・池央耿訳『失われた地平線』(原題:LOST HORIZON)は、第一次…

マーギー・プロイス『ジョン万次郎~海を渡ったサムライ魂』を読む

過日、妻とともに近隣の図書館に出かけ、何冊かの本を借りてきました。その中の一冊、集英社刊の単行本で、マーギー・プロイス著(金原瑞人訳)『ジョン万次郎~海を渡ったサムライ魂』がたいへん興味深いものでした。 ジョン万次郎といえば、漁船に乗り組んで…

新訳でハインライン『夏への扉』を読む

某図書館で、ハインラインの『夏への扉』を見つけました。私が最初に読んだのは福島正実訳のハヤカワ文庫でしたが、今回手にしたのは、小尾芙佐さんによる新訳で、2009年に早川書房から刊行された新書サイズの本です。中高年世代としては、活字も比較的大き…

デュマ『モンテ・クリスト伯』における人物相関図を描いてみる

佐藤賢一さんが解説をつとめた、NHK-Eテレ「100分de名著」で『モンテ・クリスト伯』を取り上げたのを機会に、登場する人物相関図を作ってみました。すでに何度も読んでいますので、およそのところはささっと出来上がりましたが、実際に図解してみて、その入…

プーシキン『大尉の娘』の新訳・新刊はないものか

プーシキン著『大尉の娘』は、長年の愛読書の一つ(*1)です。子どもの頃に、「少年少女世界名作全集」か何かで読んで以来、何度も読んだ物語で、学生時代に購入した文庫本は、すっかり黄ばんでしまっています。 活字のポイントも、今となっては小さくて読みに…

ジャクリーン・ケリー『ダーウィンと出会った夏』を読む

ほるぷ出版から2011年に刊行され、今年は高校の読書感想文の課題図書に選定されているという本、『ダーウィンと出会った夏』を読みました。ジャクリーン・ケリー著、斎藤倫子(みちこ)訳、ソフトカバー、412頁の本です。 なんといっても、ぱらぱらとめくった…

百年文庫「響」を読む

ポプラ社のシリーズ「百年文庫」から、第13巻『響』を読みました。ヴァーグナー「ベートーヴェンまいり」、ホフマン「クレスペル顧問官」、ダウスン「エゴイストの回想」の三編が収められています。この冊子を手に取ったのは、もちろんヴァーグナーの「ベー…

百年文庫「巡」でノヴァーリスやゴーチエを読む

ポプラ社から百年文庫というシリーズが出ていることを、図書館で知りました。ためしに借りてきたのが、「巡」という一文字のタイトルがついたもので、内容はノヴァーリス「アトランティス物語」、ベッケル「枯葉」、ゴーチエ「ポンペイ夜話」の三作からなり…

ヴィッキー・マイロン『図書館ねこデューイ』を読む

1988年1月の寒い朝、米国アイオワ州のスペンサーという小さな町にある公立図書館のブックポストに、小さな子猫が入っていて、今にも凍死しそうな状態で発見されます。新任一年目を過ぎた図書館長であった著者は、子猫をなんとか助けることができましたが、問…

イーユン・リー『千年の祈り』を読む

新潮社のクレストブックスは、どれも良質な翻訳小説で、物語を読む楽しみを満喫します。例えば『パリ左岸のピアノ工房』『朗読者』『停電の夜に』などです。このブログを始めてからは、たまたま手に取ることがなかったのですが、偶然に図書館で借りたイーユ…

メレシコフスキー『ダ・ヴィンチ物語』下巻を読む

ロシアの作家メレシコフスキーによる『ダ・ヴィンチ物語』下巻を読みました。 第9章:「分身」。ジョヴァンニ・ベルトラッフィオは、サヴォナローラの火刑を経験し、レオナルド・ダ・ヴィンチのもとに戻りますが、レオナルドは経済的に困窮していました。 第1…

メレシコフスキー『ダ・ヴィンチ物語』(上巻)を読む

図書館から借りてきた夏休みの自主的読書課題(^o^;)を、ようやく読了しました。メレシコフスキー著『ダ・ヴィンチ物語』上巻(英知出版刊)です。 著者は、1866年生まれで1941年に没したロシアの作家とのことですが、当方にはむしろ、梅棹忠夫著『知的生産の技…

陳舜臣『聊斎志異考~中国の妖怪談義』を読む

清朝期に流行した、蒲松齢『聊斎志異』は、学生時代に教養の講義で「中国文学」をとり、そこで紹介されたのがきっかけで親しむようになった、いわば中国の「妖怪モノ」です。岩波文庫に上下巻で入っており、何度も読み返して楽しんでおります。それとともに…

C.W.ニコル『盟約』を読む

文藝春秋社の単行本で、C.W.ニコル著『盟約』を読了しました。上下二巻の物語は、同じ著者の『勇魚』(*)の続編にあたり、息子の三郎を中心とするものです。 カナダで暮らす甚助とスーザンとの間に生まれた三男・三郎は、母が生後すぐに亡くなってしまってい…

スティーヴンソン『宝島』を読む

読む本を選ぶとき、最近は本の新旧にはあまり関心がなく、むしろ活字の大きさが問題です。とくに、寝ながら読むことが多い文庫本は、どんなに懐かしい本であっても、文字が小さいと、そもそも字面を追って読むこと自体が困難です(^o^;)>poripori で、光文社…

コーンウェル『死体農場』を読む

講談社文庫で、パトリシア・コーンウェルの「検屍官」シリーズ第5巻『死体農場」を読みました。いやはや、題名も不気味ですが、内容も気色悪い。特にこの巻の前半部は、後味の悪さが顕著です。 バージニア州の検屍局長ケイ・スカーペッタは、FBIのアカデミー…

マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のヤンキー』を読む(4)

大久保博訳の角川文庫で、マーク・トウェイン著『アーサー王宮廷のヤンキー』の続き(*)です。 第31章「マルコ」、第32章「ダウリーの屈服」、第33章「六世紀の政治経済学」、第34章「ヤンキーと国王、奴隷として売られる」、第35章「哀れな出来事」。 中世の…

マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のヤンキー』を読む(3)

角川文庫版、大久保博訳、マーク・トウェイン著『アーサー王宮廷のヤンキー』の続き(*)です。 第21章「巡礼者」、第22章「聖なる泉」、第23章「泉の復活」、第24章「商売敵の魔法使い」、第25章「競争試験」。目的を無事に(^o^;)果たしたサンデーのおしゃべ…

マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のヤンキー』を読む(2)

大久保博訳の角川文庫で、マーク・トウェイン著『アーサー王宮廷のヤンキー』の続きです。前回(1) はこちら。 第11章「冒険を求めるヤンキー」、第12章「じわじわとくる責苦」、第13章「自由民よ!」、第14章「殿さま、ご用心なさりませ!」、第15章「サンデ…

マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のヤンキー』を読む(1)

タイムスリップものの嚆矢といえば、マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のヤンキー』だと思いますが、龍口直太朗訳の創元推理文庫がしばらく品切れか絶版かになり、入手が困難でありました。ところが、このほど大久保博訳の角川文庫が再発売され、当方の…

ジュール・ヴェルヌ『動く人工島』を読む~弦楽四重奏団が主人公の物語

創元SF文庫でジュール・ヴェルヌの晩年の作品『動く人工島』を読みました。主人公は、なんとフランス人の弦楽四重奏団で、アメリカを演奏旅行中に、スタンダード島に強引に「招待」されます。スタンダード島とは、鋼鉄の箱を多数連結し、その上に作られた人…