ザビーネ・マイヤーのクラリネット、マレク・ヤノフスキ指揮N響の演奏で、モーツァルトのクラリネット協奏曲を聞いた。ただし、テレビのN響アワーを録画したもので、1998年9月18日の定期公演である。
ここで、ザビーネ・マイヤーは、普通のクラリネットではなく、バセット・クラリネットを用いて演奏している。バセット・クラリネットは、普通のクラリネットよりも十数cmほど長く、半音で四個分だけ低い音が出る楽器で、1991年に復元されたのだそうな。モーツァルトは、このバセット・クラリネットを愛し、低音と高音を対比した曲を書いた。だから、本来この曲は、バセット・クラリネットで演奏すべきだ、とザビーネ・マイヤーはインタビューの中で語っている。
低い音を出すために親指を使うことから、バセット・クラリネットは首からひもで吊り下げて演奏する。ザビーネ・マイヤーは、30代からこの楽器を使いはじめたことになる。低い音から高い音へ、駆け上るような音階が、陰影ゆたかに演奏される。何度見ても聞いても、素晴らしい。これはやみつきになる。バセット・クラリネットの音色はいいものだ。