電網郊外散歩道

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山形県村山盆地中央部を騒がせたクマについての素朴な推理

7月23日頃から山形市の北部の市街地等でたびたび目撃されたクマは、民家の敷地をうろうろ物色する様子がドローンで撮影され、ニュースでも報道されました。7月25日、銃器を使用して駆除されたとのことです。

newsdig.tbs.co.jp

後日、詳しい調査結果が発表されることでしょうが、このクマについて、素朴な推理をしてみました。

  • 大学時代に動物生態学を専攻し、キツネ等の野生動物の無人撮影を行っていた元同僚が言っていたことを思い出します。センサーを付けた野生のクマは自動車並みの行動力を持ち、かなり広い範囲を移動することがわかっているそうで、あちこちにクマが出没して何頭もいるように思えるときも、案外同じ1頭のクマだったということが多いとのことです。
  • 6月末〜7月初旬に東根市内の村山野川周辺の住宅地や山形空港などで目撃されたクマは、その後天童市成生地区などで目撃された後、情報が途絶えました。これまで目撃された東根市山形空港西部と天童市成生地区、今回駆除された山形市北部は、村山野川、乱川、立谷川、馬見ヶ崎川などが最上川に注ぐ複合扇状地の扇端部に位置し、いずれも豊富な地下水を背景に野菜や果樹などを栽培する農村部を中心とする地帯です。したがって、水とエサにはあまり不自由せずに移動でき、これらの目撃情報のクマは同一個体であろう、というのが私の推理です。
  • さらに言えば、6月22日、河北町で麻酔銃で捕獲され山中に放されたというクマが、人里のエサを求めて水量が激減した最上川を渡り、古最上などを経て東根市の村山野川流域に入り込み、天童市山形市へと移動した、と考えます。
  • 当地では、クマは東山(奥羽山系)よりも西山(月山・葉山・朝日連峰)のほうが多い、と言われています。西山周辺で生息し、人里にはエサが多く容易に得ることができることを学習したクマが河北町で目撃され、麻酔銃で撃たれて捕獲されたけれど、苦しさや痛みはなかった。人間の怖さよりも美味しいエサが多いことのほうが魅力的だったのだろうと思います。

これらの推理の当否は、山形空港のフェンスに残されたクマの毛や捕獲されたクマの遺伝子型を比較することで、同一個体かどうかが明らかになるものと思われます。

クマ対策のパトロールで判明した河川の管理道路の現状

実際に身近にクマが出没する事態になり、これまでのような傍観者的な対応はできなくなりました。すぐ隣県の秋田県岩手県でクマが人を襲う事態が頻発しており、ツキノワグマだからヒグマほど怖くないとは言えなくなっているようです。実際に、マタギの言い伝えでも人を襲ったクマは人を獲物と認識するから、必ず殺さなければいけないとされていたようです。

narkejp.hatenablog.com

明治期の日清・日露戦争に従軍した多くの人たちが村田銃の操作を覚え、帰郷後に箱罠や猟銃を用いて狩猟をするようになり、野生動物が激減していった大正昭和の時代には、野生動物の保護、共存が声高にうたわれたのは理解できます。しかし、特に東日本大震災福島原発事故あたりからは事態はかなり変化しているようです。野生動物の個体数の増加と里山の衰退が野生動物と人間社会との力関係を逆転させ、野生動物と人間との「棲み分け」を維持できるかどうかが課題になってきているということでしょう。「共存」ではない、「棲み分け」の維持ができるかどうかです。